漆芸家の吉野貴将さんが当店の古材を使って作品を作られたということで、
品川にあるギャラリーに見学に行ってきました。
目黒駅から少し歩いた住宅街の中にギャラリーがあります。
ぱっとみた感じは一軒家なのですが、中はたいへんユーモアにあふれた素敵なギャラリーでした。
二階の茶室にある作品から見学しました。
床の間に作品が鎮座していました。
じっとした静的なポーズなのに、なぜかそこに居るという存在感があります。
近づいてみると台座の細工がきらきら光って見えました。
形容しがたいのですが、本当に光るというのはこういうことか、、、と見惚れる感じです。
こちらは色々な神様の断片が組み合わさっているということでした。
足はイエス・キリストということでした。
痛々しいエピソードを思い出す足の穴ですが、
その生々しさはとうの昔に消えてしまった感じです。
顔の表情もとても静かです。
親しみやすい印象がしたかと思えば、別の星から来た妖精のような気もしてくるし、
とても不思議な揺らぎがあり、いつまででも見ていられそうでした。
こちらは見た目からは想像がつかないのですが、麻布で作られているそうです。
厚みが均一でなく、光を当てると微妙な影のニュアンスが生まれます。
大変微細な仕事ですが、こういうものの積み重ねで
いつまでも見てられる面白さがでるんでしょうね・・・。
本当に不思議な感覚になりました。
こちらの作品の台座に当店の古材を使っていただきました。
木を剥いだときの裂けた形をそのまま生かし、
そこからタイトル等のインスピレーションを得たそうです。
漆を何層も重ねているそうで、木の素材感を保ちつつも
どこか別物に生まれ変わっています。
襟元の燻したような不思議な光り方をしている部分には金粉が使われているそうです。
華美な光り方ではなく、厳かな光をまとっており、神聖な雰囲気があります。
当店で眠っていた古材がこんなふうに作品の一部になったのを
見られてなんだか感慨深かったですね・・・。
漆の作品の工程の多さにびっくりしつつも、
拝みたくなるような作品たちを目の当たりにして、
なんだかその仕事の量による説得力が作品に宿るんだなぁと思いました。
宝物をたくさん目にしたようなとても充実した時間を味わえました。
目黒駅周辺にお越しの際は、ぜひお立ちよりください。
ギャラリーも、とても素敵でした・・
漆芸家 吉野貴将さん
2019年6/8~6/27
11:00~18:30
ギャラリー 館 游彩(やかたゆうさい)