蔵で能

師走になってはや数日、またまた粋な企画に出かけて参りました。

 

会場は、東京都の世田谷区は三宿にあるギャラリー徳の蔵。
長野県から移築した酒蔵をギャラリーとして運営していらっしゃいます。

 

当店の建具も移築の際に、使っていただきました。
http://ae106yctqr.smartrelease.jp/blog/works/277/
ひさしぶりにお邪魔しました。

 

そして今回の企画、主催は民家再生協会なのですが、能楽を鑑賞するイベントでした!
蔵で能。何だか語呂が良い、、。

民家再生協会の特別会員でいらっしゃる能楽師の大倉源次郎さんと
地謡方の長島茂さんをお迎えして能のお話と小鼓の曲を演奏していただきました。

普段、なかなか耳にすることのない能のお話と楽曲、、、
大変風流な一夜となりました。

 

会の中で、小鼓方でいらっしゃる大倉さんが、
大変印象的なお話をされていました。

数百年もの間、代々引き継いでいるという小鼓。
大倉さんは、その絵柄の中に、あるメッセージを読み取ったそうなんです。

 

小鼓は、上の柄と下の柄で模様が異なっており、対のイメージになっているそうです。
(写真はたんぽぽの絵柄です。)


大倉さんが、持参されていた小鼓の上の方には、
桜の絵、下の方には、秋を象徴する文様の錦が描かれていました。

春と秋で、、、なるほど対になっている、、、だけではなくて、

実は、よくよく解釈してみると、
桜は自然の桜の絵で、秋は錦の中で描かれているもの。

つまりその小鼓は自然と、人工物の組み合わせでもあるというのです。

大倉さんは、自然と人がつくった人工物、その調和について話され
日本の民家についても同じテーマで言及されていました。

そういえば、借景にしても、
本当に日本の建築物は自然との調和が秀逸ですよね、、、。

古くから続く日本の芸能と、人の生活に大きく関係してきた民家
その二つが繋がり、お話を聞いていて、深く感動しました。

能は、「玉葛」と「勧進帳」の一幕を演奏していただきました。
至近距離で、舞台とはまた違った音の響き、、、
貴重な体験となりました。

能にも、民家にも、もっと造詣を深めたくなった一夜でした。